こんにちは!

代表理事の保田です。

 

ファイザー社、モデルナ社が

相次いでワクチンの第三相試験で

90%以上の有効率を確認したと

発表しました。

 

どちらのワクチンもmRNAワクチン

と呼ばれる新しいタイプのワクチン

となっています。

 

mRNAとはウイルスを作成する

設計図のようなものだと考えて

ください。

 

mRNAワクチンとは従来のワクチン

のようにウイルスそのものを注入

するのではなく、

 

ウイルスの設計図である

mRNAのみを人体に注入します。

 

すると体内でmRNAの

遺伝子情報に従ってウイルスの

タンパク質の一部が生成されます。

 

その結果、ウイルスに対する

免疫反応が起こり、ウイルスに

対する免疫力を獲得できます。

 

ウイルスそのものを接種するよりも

副作用は出にくいと考えられて

いますが、mRNAワクチンには

欠点があります。

 

それはmRNAが非常に不安定な物質で

あるため、運搬や保存に-80℃以下の

超低温冷蔵が必要な点です。

 

モデルナ社のワクチンは特別な修飾を

行うことで、通常の冷凍(-20℃)で

半年間、冷蔵で1週間有効になっている

とのことです。

 

この点でモデルナ社のワクチンが

一歩リードしていると言えます。

 

 

両社の試験の内容、結果について

説明します。

 

 

ファイザー社は4万3000人に対し

ワクチンと何の効果もないダミーの

注射をランダムに打ち、その後

新型コロナウイルス感染症を

発症した94人について分析しました。

 

その結果、発症した94人のうち

9割以上がダミーの注射を打った人

であったことが分かりました。

 

 

モデルナ社は3万人に対して

試験を行い、半数にワクチンを

接種、残り半数には何の効果も

ないダミーの注射を接種し、

その後新型コロナウイルスを

発症した95人を分析しました。

 

その結果、95人中90人が

ダミーの注射を打たれた人

だったことが分かりました。

 

この結果から有効率は94.5%

であると発表しました。

 

また重症化した人が5名いましたが

いずれもダミーの注射を打った人で、

ワクチンを接種した人の中には

重症化した人はいなかったとのことです。

 

 

数字だけ見るととても希望が

持てるような気がします。

 

しかしよく考えないといけない

点がいくつかあります。

 

【予防効果は本当にワクチンに

よるものか?】

 

両社ともに9割以上の有効率と

発表していますが、ワクチン以外の

要因がからんでいる可能性は否定

できません。

 

たまたまワクチンを接種した人たちが

新型コロナウイルス感染症に感染

しにくい人たちだった可能性も

あります。

 

例えばもともとの体質や遺伝、

生活様式、住居空間、活動性、

予防への意識などの影響で

感染率は変わります。

 

試験結果はこのあたりを考慮

していません。

 

 

【全員に効果があるわけではない】

 

9割以上の有効率ということは

1割弱ながら無効な人もいると

いうことです。

ワクチンを接種したからといって

完全に予防できるわけではありません。

 

 

【危険性】

 

今回の試験で見られた副作用は

疲労、頭痛、痛みなど軽度のものしか

報告されていません。

しかしこれはあくまでも短期的な評価

でしかありません。

 

長期的に人体に影響を及ぼさないとは

言いきれません。

 

より多くの人に投与されるようになれば

もっと多くの副作用が報告されるのは

間違いありません。

 

 

【効果が持続するか】

 

ワクチンを接種したことによる

予防効果がどれ程の期間持続するかは

まだ未知です。

 

予防効果が1カ月しかなければ、

ワクチンとして不完全です。

 

 

【ウイルスの変異に対応できるか】

 

ウイルスは常に変異を繰り返しています。

ワクチンが無効な新・新型コロナウイルスが

流行すれば、ワクチンは無意味になります。

 

インフルエンザウイルスのワクチンが

良い例です。

 

インフルエンザウイルスは変異を

繰り返し、300種類近く存在するのに、

そのうち3種類にしか対応しない

ワクチンを毎年作成しています。

 

当たる確率は100分の1程度です。

一生のうちに1回当たるぐらいの

確立です。

 

同様のことが新型コロナウイルスでも

起こると思われます。

 

変異しない部位を特定してワクチンを

開発している機関があるので、

期待したいと思います。

 

 

以上のように色々と不安材料は

ありますが、

 

「予防手段を手に入れた」

という事実が、世界中の人たちが

安心し、日常を取り戻すうえで

重要なのだと思います。

 

実際には効果が期待できなくても、

インフルエンザウイルスのように

ワクチンがあるというだけで、

毎年自粛せずパニックにならずに

過ごしているわけですから。

 

実際は毎年インフルエンザウイルス

の影響で日本だけで約1万人が

お亡くなりになっています。

 

新型コロナウイルスはこれほど

騒ぎになってるにも関わらず、

国内で今日までのお亡くなりに

なった方は1895人です。

 

いかに毎年流行するインフルエンザ

ウイルスに無頓着になっているかが

分かると思います。

 

無頓着でいられる理由はおそらく

ワクチンがあり、治療薬がある

という安心からだと思います。

 

実際はワクチンがあるにも関わらず

毎年日本だけでも1000万人もの人が感染し、

治療薬があるにも関わらず

1万人が死亡しているのにです。

 

現状日本においてはインフルエンザウイルス

の方が新型コロナウイルスよりよっぽど

恐い存在です。

 

とはいえ今後欧米のような大流行が

起これば、インフルエンザウイルス

以上の脅威になりますから、安全で

有効なワクチン開発に期待したいと

思います。

 

今回の新型コロナウイルス感染症

の影響でワクチン開発分野は急速に

進歩しています。

 

今後さらに多くのワクチンが発表

されてくると思います。

 

随時報告させていただきたいと

思います。