こんにちは!

代表理事の保田です。

 

ドイツ・ハンブルク州の大学病院で

新型コロナウイルス感染症の

診断が確定したのちに死亡した

最初の連続症例12例について

 

解剖等を行い死因が明らかに

なってきました。

 

解剖の結果、

12例中8例は

間質性肺炎(リンパ球が肺の組織に

集まり、炎症を起こさせる病態)

に引き続き発症した

 

急性呼吸促拍症候群(炎症が起こった

結果、血管から肺に水が滲みだし、

肺が水だらけで溺れた時と同じ

状態になる)

 

が原因で呼吸ができなくなった

ことが死因であることが分かりました。

 

このようなことが起こっているのは

割と早い段階で知られていました。

 

意外な死因とはこのことでは

ありません。

 

意外な死因とは

12例中7例(58%)で認めた

 

深部静脈血栓症

 

です。

 

深部静脈血栓症とは

心臓に血液が戻る際に通る血管

(静脈)に、血の塊(血栓)が

できてしまう状態です。

 

程度が軽ければ、むくみや

腫れなどの症状が出る程度で

済むので、これ自体はそれほど

恐くはありません。

 

恐いのは血栓が飛んだときです。

 

もし血栓が飛んでしまい肺に到達

すると、肺の血管を詰まらせて

肺梗塞を起こします。

 

肺梗塞という言葉は馴染みがないと

思いますが、脳梗塞や心筋梗塞

なら聞いたことがありますよね?

 

梗塞とは血管が詰まってしまい

臓器に血液が送られなくなり、

その臓器が機能しなくなる

状態です。

 

脳で起これば脳梗塞になり

脳が機能しなくなり麻痺症状

が出現します。

 

心臓で起これば心筋梗塞となり

心臓が血液を送ることができなく

なり、死に至る可能性があります。

 

同様に肺で梗塞が起これば

肺梗塞となり、肺の機能である

呼吸ができなくなってしまい、

酸素を取り入れることができず、

死に至る可能性が高いです。

 

 

今回の解剖でも12例中4例で

肺梗塞を認め、直接的な死因で

あると断定されました。

 

 

つまり新型コロナウイルスに

感染しお亡くなりになる

3人に1人は、深部静脈血栓症が

原因で引き起こされる肺梗塞が

死因ということになります。

 

 

血栓ができやくすなるのは

ウイルスが血管の壁を傷つけ、

さらに血を固まらせる物質の放出を

促すためだと考えられています。

 

 

国際血栓止血学会(ISTH)は、

新型コロナウイルス感染症に

なった人に対し、血液検査で

血栓ができていないかモニター

しながら、

 

血栓を溶かす薬を点滴するよう

暫定のガイダンスで発表しています。

 

 

このことで深部静脈血栓症と

それに続発する肺梗塞を予防

できるようになってきています。

 

 

初めはまったく未知の感染症

でしたが、世界中の医療者、

研究者が様々な実験、研究を

行い、この一年で実態がかなり

明らかになってきました。

 

医療の力を信じて、過度に恐れず、

手洗い、消毒、マスクによる予防を

習慣としながら、気楽にお過ごし

ください。