痛みの意味

はじめに

整形外科には痛みのために苦しんでいる人がたくさんきます。

あなたも痛みで辛い思いをしたことがあるでしょうし、今も痛みに苦しんでいるかもしれません。

痛みが辛いときは

この痛みさえなければ!

と思うでしょう。

しかし痛みがないと、生きるのが大変困難になります。

痛みにはとても大事な意味があります。

今回は痛みの意味について解説します。

このブログを読めば痛みがなぜ存在し、痛みがないとなぜ困るのかを知り、痛みを前向きに受け止めることができるようになります。

痛みとは

体に痛みの原因となる刺激が加わると、皮膚をはじめ全身に分布している痛みの受容器によって感知されます。痛みの受容器が痛みを感知すると電気信号を発します。電気信号は神経に沿って伝わり脊髄を経由して脳へと送られます。

脳が電気信号を処理し、それを痛みと解釈して痛みを意識します。

痛みの受容器とその神経経路は体の各部分で異なっています。そのため、痛みの感覚は、損傷の種類と場所によって異なります。

特に敏感なのは体の表面を覆っている皮膚です。皮膚には痛みの受容器がたくさん存在しています。そのため痛みに対する情報が脳に多く伝えられ、痛みの刺激がどの部位で起こったか、痛みの原因となったなものが何なのかといった詳細な情報を伝えることができます。

痛みの受容器は腸などにも存在していますが、皮膚に比べると数が少ないため情報量が少ないです。そのため痛みを感じにくく、痛みの程度や部位があいまいです。

反射弓:脳を介さない経路

痛みの信号は神経に沿って脊髄まで伝わった後、脳と同時に運動神経にも伝達されます。運動神経に伝達されると筋肉に信号が送られます。すると筋肉が収縮して、反射的に痛みから体を避けます。このような反応を反射と呼んでいます。

指先にとがったものが刺さると反射的に手を引っ込めるのは、反射弓によるものです。

反射弓があるおかげで、ケガやヤケドを予防できます。

痛みの意味

結論からお話すると、痛みは体にとって害となる何らかの刺激が加わっていることを知らせてくれるものです。

つまり痛みはあなたを守ってくれる存在なのです。

ケガをしたとき、痛みがあるため無理をせずに済みます。

痛みを訴える部分で多いのが腰です。

腰痛の患者さんが「痛みさえなければ」とおっしゃるとき、

痛みは体からのサインなんです

と説明しています。

痛みがあるから無理な負担がかかるような動きをせずに済むわけです。

もし痛みがなければ無理を続けてしまい、いつまでも治ることがありません。

そればかりか無理を重ねて悪化させてしまいます。

つまり痛みは体を守るために出現しているわけです。

痛みに対してネガティブな気持ちを持つと、かえって痛みが強くしつこくなります。

逆に痛みを自分の味方と捉えてポジティブに受け入れると、痛みへの嫌悪感が減り、その結果痛みは軽減します

このように痛みはメンタルと大きく関係します。

同じ程度のケガであっても、あまり痛がらない人とメチャクチャ痛がる人がいます。

「これぐらいの痛みどうってことない」と思うか「こんなに痛くて辛い」と思うかで、痛みの感じ方は変わってきます。

治療によって痛みが軽くなったとしても、「まだこんなに痛みが残っている」と思う人はいつまでも痛いと言い続けますが、「前はあれだけ痛かったのがこんなに楽になった」と思う人は痛みが楽になったと言います。

最近では慢性腰痛の原因にストレスが影響していることが証明され、診療ガイドラインにも明記されています。

ストレスがあると、脳内で痛みを制御している側坐核の働きが悪くなり、痛みを制御できなくなるため痛みが出やすくなります。

このようなストレスにより痛みを感じやすくなる脳のシステムも、あなたを守るために備わったものだと考えられます。

ストレスがあっても、ある程度まで精神力で頑張り続けることができます。しかしストレスにさらされ続けると、心を病んだりガンや心筋梗塞などの命に関わる病気になったりしてしまいます。

そうならないため、ストレスを感じると痛みが出やすくなり休ませようとするシステムが僕たちには備わっています。

もし痛みがないと

もし痛みがないとどうなると思いますか?

先天性無痛無汗症という病気があります。

この病気は生まれつき全身の痛みや温度を感じず、汗をかくこともできないというものです。

通常は痛みを通して体に危害が加わることを経験し、避けることを学習していきます。どういうことをどの程度すると体に悪いのかを痛みが教えてくれるのです。

しかし痛みを感じないと、どういうことをどの程度したら体に危害が加わるか分かりません。

そのため運動が活発になると激しく転倒したり高いところから飛び降りたりして、骨折などのケガを繰り返します。

手や腕、背骨などの骨折も起こしますが、足の骨折を起こすことが特に多く、成長過程で歩行不能になってしまいます。

また歯の生え変わり時期には、歯の不快感から自分の歯を抜こうとしたり、指をかじって指の先を切断してしまったりします。

先天性無痛無汗症から分かるように、痛みがないと体はボロボロになってしまいます。

糖尿病の人も神経が障害され感覚が鈍くなるため、指先のケガに気付かず細菌感染を起こしたり、コタツや湯たんぽ、カイロなどで低温ヤケドをしたりしやすいです。

またご高齢者は加齢に伴い感覚が鈍くなるため、痛みを感じにくくなります。そのため内臓の痛みを自覚しにくく、内臓の病気に気付くのが遅れることが多いです。

痛みに問題がある人を知ると、痛みがいかに大切か分かります。

まとめ

痛みは不快に感じるため、悪い感覚だと思いがちです。

しかし実際は痛みによってあなたは守られています。

あなたの体に備わった機能に無駄なものはありません。

痛みも例外ではありません。

痛みはあなたの味方として受け入れてください。