こんにちは、
 代表理事の保田です。

 昨日、第7回目となる 湘南横須賀三浦地区在宅リハビリ研究会 を開催しました。

 今回は認定講師の北風さんが講義をしてくれました。

 北風さんは訪問看護師として今まで100人以上もの方を看取ってきた経験をお持ちです。

 その経験からエンゼルメイクについて講義をしてくださいました。

 

 エンゼルメイクという言葉を医療関係者以外の方は馴染みがないと思います。
 簡単に説明するとお亡くなりになった方に施す化粧のことで、『死化粧』とも呼ばれます。
 
 なぜエンゼルメイクが必要なのでしょうか?

 これには二つの目的があります。
 
 ひとつ目は外見を良くする目的です。

 お亡くなりになる方は少なからず表情が崩れてしまいます。
 なかには壮絶な死に際であったために苦悶の表情でお亡くなりになってしまいます。
 
 そこで生前の面影を取り戻すために、クレンジングやマッサージを施して表情を和らげたり、ファンデーションで顔色をカバーしたりする必要があります。

 もうひとつは内的な目的です。

 その目的とはグリーフケアです。

 グリーフは悲嘆と訳されることが多いです。

 つまりグリーフケアとは、故人との別れによる悲しみ、嘆きを癒すことを意味します。

 エンゼルメイクをご家族と一緒に行うことで、悲嘆を緩和させ、死を受け入れやすくしてあげられます。

 病院では死亡宣告が行われたあと、お別れをする時間は多少作ってもらえますが、しばらくするとご家族は待合室に移動させられてしまいます。

 その後、医師や看護師によって手早く死後処置が行われ、家族はその間に葬儀社を手配します。

 死後処置が終わるとともに霊安室に移動となり、霊柩車が到着次第、自宅に移動となります。

 バタバタとしていて悲嘆に暮れる時間はなく、死を受け入れる暇もありません。
 
 いっぽう在宅では、医療者とご家族が共に、時間に追われることなくエンゼルメイクを行えます。

 その結果、「最後に綺麗にして見送ってあげられた」という思いが生まれ、死を受容し、悲しみや嘆きが癒されます。
 
 リハビリもそうですが、やはり病院よりも在宅の方が、ご本人やご家族と深く関わり、のみならず心までケアすることができます。

 この心のケアこそ在宅リハビリが担うべきものだと考えています。