こんにちは!

代表理事の保田です。

 

以前から日本は医師数が不足していると指摘されています。

コロナ禍によって、さらに医師数の不足による影響が顕著になっております。

 

医療関連データの国際比較-OECD Health Statistics 2019によると、人口1,000人当たりの医師数上位トップ10は以下の通りです。

第1位 ギリシャ 6.1人
第2位 オーストリア 5.2人
第3位 ポルトガル 5.0人
第4位 ノルウェー 4.7人
第5位 リトアニア 4.6人
第6位 スイス 4.3人
第7位 ドイツ 4.3人
第8位 スウェーデン 4.1人
第9位 デンマーク 4.0人
第10位 イタリア 4.0人

 

日本はどうかというと、1,000人あたり2.4となっており、第32位です。

第1位ギリシャの1/2~1/3ということになります。

 

人口当たりの医師数は少ないと言わざるを得ない状況です。

 

問題は医師数の不足ばかりではありません。

勤務地の偏りが問題となっています。

 

厚生労働省の平成30(2018)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況によると、医療施設に従事する人口10 万対医師数を都道府県(従業地)別にみると、徳島県が329.5 人と最も多く、次いで京都府323.3 人、高知県316.9 人となっております。逆に埼玉県が169.8 人と最も少なく、次いで、茨城県187.5 人、千葉県194.1人となっています。

 

最下位の埼玉県の医師は、トップの徳島県に比べ、約半分の人数で医療に当たっていることが分かります。

 

僕の出身大学では、約100人いた同級生のうち95%が、地元や希望の勤務地に就職しました。

エリアによって医師の充足度に差が生まれています。

 

そんななか、富山大学医学部医学科が興味深い試みを行っています。

以前から県出身者枠が設けられていました。(学校推薦型選抜の「地域枠」定員15人と、県の奨学金がある総合型選抜の「富山県特別枠」定員10人)

さらに2022年度入試から導入する県出身者を対象とした総合型選抜「富山県一般枠」について、定員を10人とすると発表しました。

これにより医学科の県出身者枠が25人から35人に増えることとなり、県内の医師不足の解消につなげようとしています。

 

一昔前は大学の医局が多大なる力を持っており、ほとんどの医師が大学医局に属し、全国にまんべんなく医師が派遣されていました。

ところが現在は、かつてのように大学医局に属さない医師が増え、自由に勤務先を選択するようになっています。

この流れは戻すことはできません。

富山大学のように地元出身者を入学させることもひとつの方法ですが、最も理想的なのは、医師が働きたいと思える魅力ある病院を増やすことだと思います。

その結果、全国的に医療レベルが上がるはずです。

アメリカでは世界中から医師が集まる有名な病院やクリニックがいくつもあります。

日本にもそのような病院が増えることを望みます。