こんにちは!

代表理事の保田です。

 

ご高齢のが寝たきりになる
主な原因は骨折です。

なかでも腰や背骨の骨が
つぶれてしまう圧迫骨折
を起こす方が非常に多い
です。

骨がもろくなっている方は
尻もちをついたり、重たい
ものを持っただけで圧迫骨折
を起こしてしまいます。

なかには何もきっかけが
なく圧迫骨折を起こす人が
いるくらいです。

圧迫骨折に対する治療は
様々です。

選択によって寝たきりになるか

どうかの分かれ目になります。

 

私が初めて勤務した大学病院
では、ギプスで作ったベッド
(亀の甲みたいなもの)に
2カ月間寝かせる治療をして
いました。

後に知りましたがこれは
戦前に行われていた古い
治療でした。

2カ月も寝たきりでいると
歩くことができなくなって
しまいます。

背中に床ずれができますし
決して良い治療とは言えません。

大学病院が最先端の治療を
しているとは限りません。

次に勤務した大学病院の
分院ではオーダーメイドの
コルセットを作成して
治療をしていました。

コルセットの方が患者さんに
かかる負担はかなり少ない
ですが、なかなか良く
ならなかったり、圧迫が進行
する人が多かったです。

救命救急センターに勤務
した際は、交通事故や
高所からの転落による
骨折が多かったので、圧迫
骨折ではなく粉砕骨折のことが
多かったです。

粉砕骨折の場合は、下肢の
動きや感覚を司る神経や、
尿や便の調節を行う神経の束
(脊髄神経)が圧迫される
危険性が高いため、

金属製のスクリューや
棒で固定する治療を行って
いました。

その後大学の医局を辞めて
最先端の治療を数多く行っている
病院に勤務しましたが、ここでは
圧迫骨折の部位に人工骨を
充填する治療を行っていました。

経皮的椎体形成術という手術法です。

この治療の素晴らしいところは
わずか1cmほどの創を2か所つける
だけででき、手術時間も15分ほど
ですむという点です。

合併症が多く体力のないご高齢
であっても受けることができます。

しかも手術前は痛みのため寝たきり
だった人が、手術後数日で歩ける
ようになります。

患者さんの負担が少なく、回復も
早いとても良い治療なのですが
取り入れている病院はあまり
多くありません。

現在多くの病院で圧迫骨折に
対して行われる治療は、救命救急
センターで行われていたのと同様の
金属で固定する方法です。

しかしこの手術は長時間におよぶ
ことが多く、かなり出血するため、
合併症があったり体力がない方は
適応になりません。

そのため多くのご高齢者が圧迫骨折
を起こしても治療をしてもらえず、
自然に骨がつくのを待つよう言われて
いるようです。

自然に骨がつくのを待つように
言われたご高齢者がどのように
なるか想像できますか?

ほとんどの方が、痛みがいつまでも
とれず、寝たきりになってしまい
ます。

背中が曲がってしまい、肺や内臓が
圧迫され、肺炎や腸閉塞を起こして
しまいます。

最終的には全身の状態が悪化して
命に関わることもあります。

放置された骨折はガンよりも生存率
が低くなるというデータもあるほど
です。

私は横浜市の中心部~南部で
訪問診療を行っていますが、
リスクの高い高齢者の圧迫骨折に

手術をしてくれる病院はほとんどないです。

はじめから高齢者に手術は
できないと思いこんでいる
医師が多いようです。

先日も手術を断られて寝たきりに
なってしまった患者さんが
いました。

そこで以前私が勤務した病院に
紹介したところ、すぐに手術を
してくれたので、数日で歩ける
ようになりました。

もっと多くの病院で圧迫骨折
に対する負担の少ない手術が
普及すれば、救われる人が
増えるはずです。