こんにちは!
代表理事の保田です。
今日はガン細胞を利用して
行われている最新のガン治療
について解説します。
僕たちの体の中には
ガン細胞をやっつける
NK(Natural Killer)細胞と
呼ばれる免疫細胞が存在
しています。
誰しも毎日体内でガン細胞が
生み出されているのですが、
NK細胞がガン細胞をやっつけて
くれるおかげでガンにならずに
済んでいます。
NK細胞はとてもありがたい
細胞です。
しかしこのNK細胞も増えすぎると
他の正常な部分に害を及ぼして
しまいます。
このような病気を
NK細胞ガンといいます。
カナダの研究者がNK細胞ガンの
方からNK-92細胞と呼ばれる
特殊な細胞を作ることに
成功しました。
NK-92細胞は人間の血液中に
存在する正常なNK細胞に比べて、
実験室での増殖が容易です。
さらにNK-92細胞がさまざまな
種類のがん細胞を殺すのに優れており、
一部の患者さんに劇的な結果をもたらす
ことができることを明らかにしました。
また、NK-92細胞の増殖をさらに
容易にしたNK-92MI細胞は、
現在、様々な癌に対する使用が
広く研究されています。
しかしNK-92MI細胞には
投与しても全身に分散してしまうため
治療効果を上げにくいという欠点が
あります。
その欠点を改善するため
スクリップス研究所の科学者たちは
NK-92MI細胞を再設計し、CD22と
呼ばれるB細胞に結合する表面分子を
含むようにしました。
こうすることで原理的にはガン化した
B細胞を選択的に認識できるように
なります。
その結果、B細胞が異状に増殖する
悪性リンパ腫という病気の治療に
応用できる可能性が出てきました。
さらに腫瘍細胞が多く集まる
骨髄に、投与したNK-92細胞が
集まりやすいよう、
NK細胞にシアリルルイスXと
呼ばれる新しい分子を加えました。
これにより、マウスの悪性リンパ腫の
発生を劇的に遅らせることが
できました。
僕は悪性リンパ腫を2度経験して
いるので、このニュースはとても
嬉しく感じています。
正常細胞ごと攻撃してしまう
従来の抗ガン剤治療は、脱毛、下痢、
便秘、吐き気など様々な副作用が
出現します。
しかしNK細胞を用いて
腫瘍細胞だけを攻撃する治療
が実現すれば、副作用の少ない
効果的な治療が可能となります。
今後は悪性リンパ腫以外の
ガンに対しても、NK細胞を
改良して治療できるように
なるかもしれません。