はじめに

腰痛は厚生労働省が行う国民生活基礎調査で例年有訴者率、受診率ともに例年上位をしめるメジャーなものです。

日本のみならず欧米でも腰痛は医療機関を受診する原因として上位をしめています。

国民病を超えて人類病といっても過言ではありません。

それにも関わらず腰痛の定義はあいまいです。

定義がない理由のひとつが、腰痛は病名ではなく症状だからです。

病名であれば診断をするための基準が必要なので、明確な定義があります。

しかし症状というのは表現のしかたは様々なので、定義するのが難しいです。

とはいえこれだけメジャーな腰痛に定義がないのは問題があります。

あなたも腰痛という言葉は知っていても、定義についてはご存じないと思います。

そこで今回は日本整形外科学会が作成した『腰痛診療ガイドライン』を参照に、腰痛の定義について解説します。

この記事を読めば、腰痛の定義を知ることができます。

腰痛の定義

まず結論からお話します。

腰痛は以下の様に定義されます。

部位

体の後面の第12肋骨(一番下の肋骨)と臀溝下端(お尻の割れ目の下端)に存在する痛みを腰痛と定義します。片側または両側の下肢に痛みを伴う場合も伴わない場合もあります。

期間

少なくとも1日以上痛みが継続するものとします。腰痛が発症してから4週間未満までを急性腰痛、4週間以上3カ月未満のものを亜急性腰痛、3カ月以上のものを慢性腰痛といいます。

原因

腰痛の原因としては、脊椎由来(脊椎=腰の骨)、神経由来内臓由来血管由来心因性、その他があります。

定義についてそれぞれ詳しく解説します。

部位からの定義

まずは部位に関して定義することが重要です。

腰痛というぐらいなので、『腰の痛み』ということになるのですが、腰がどこかと明確に言い表すのは難しいです。

そこでガイドラインでは

体幹後面に存在し、第12肋骨と殿溝下端の間

と定義しています。

腰痛は腰のみでなく、殿部(お尻)や下肢の痛みやしびれを伴うこともあります

そのため片側、または両側の下肢に放散する痛みを伴う場合も含んで良いとされています。

期間からの定義

発症からの期間による定義に関して、急性期慢性期に関してはほぼ一致した見解があります。

4週間未満を急性3カ月以上を慢性とするのは確立されています。

亜急性に関しては一致した見解がありませんが、急性と慢性の間ということで4週間以上、3カ月未満と定義しています。

原因からの定義

腰痛とは、腰を構成する椎間板椎間関節(腰の骨と骨を連結する部分)、神経筋肉筋膜靭帯血管などが、病気やケガなどによって傷害されて起こるものです。

具体的な原因によって以下のように分かれます。

【脊椎由来】 腫瘍、感染、外傷(骨折など)、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、すべり症、骨粗鬆症、筋・筋膜性など 【神経由来】 脊髄腫瘍など 【内臓由来】 腎尿路系(腎結石、尿路結石、腎盂腎炎など)、婦人科疾患(子宮内膜症、妊娠など) 【血管由来】 腹部大動脈瘤、解離性大動脈瘤など 【心因性】 うつ病、ヒステリーなど 【原因不明】 非特異的腰痛※医師の診察および画像の検査(X 線や MRI など)で厳密な原因が特定できないものを非特異的腰痛といいます。

原因のうち特に気を付ける必要があるのが

  • 悪性腫瘍(腰の骨や神経の腫瘍やガンの転移)
  • 感染(化膿性椎間板炎や脊椎炎など)
  • 骨折
  • 神経症状の重篤なもの(下肢の麻痺や排尿排便障害など)

です。

このような原因である場合は緊急での治療が必要となります。

さいごに

腰痛は医療機関を受診する人が多いにも関わらず、定義すら曖昧なものです。

今回の記事を参考に、腰痛への理解を深めてください。