あなたは肩こりや腰痛、筋肉、関節の痛みに対して治療を受けているのに改善しないと悩んでいませんか?
その原因、実は筋膜にあるかもしれません。
最近痛みを和らげる方法として筋膜リリースが注目を集めています。
ケガの後遺症や肩こり・腰痛などの慢性的な体の悩みを解決するために医療界でも注目されている新しい手技療法です。
僕自身、腰痛や肩こりが出た際は筋膜リリースすることで対応しています。
この記事ではなかなか改善しない痛みに効果的な筋膜リリースについて解説します。
この記事を読むと筋膜リリースを自分でも行えるようになります。
そもそも筋膜ってなに?
そもそも筋膜とは何なのでしょうか?
筋膜は実際目にすると膜というよりも密な蜘蛛の巣のような構造をしています。
筋膜の語源はfasciaという英語です。
筋膜という日本語訳のため専門家も含め多くの人が誤解していますが、筋肉のみならず内臓や血管、骨、神経などの表面に存在しています。
役割としてはまだ未知な部分もありますが、臓器がバラバラにならないよう固定するような役割や、情報をやりとりするネットワークのような役割があるのではないかと言われてます。
筋膜は『第二の骨格』と呼ばれることもあり、全身をくまなく覆っています。
筋肉における筋膜の役割には、筋肉を保護したり筋肉の動きを滑らかにさせるといったものがあります。
そのため筋膜にトラブルが生じると痛みやこりの原因となります。
筋膜のトラブルは簡単に生じてしまいます。
筋膜はコラーゲン繊維※1やエラスチン繊維※2、ヒアルロン酸※3などでできており柔軟性に富んでいます。
その反面非常にもろく、ちょっとしたケガや筋緊張がきっかけで傷んでしまい、硬くなったり変形したりしてしまいます。
※1 コラーゲン繊維(膠原繊維)
結合組織の細胞間基質中に多くみられる繊維。分子量約30万のコラーゲンというタンパク質の繊維が規則正しく配列されており、電子顕微鏡では20~100ナノメートルの膠原繊維が集合してできていることがわかる。膠原繊維は熱や酸で処理したり、ペプシンで消化すると消失する。煮沸して水溶性にしたものがゼラチン(膠(にかわ))である。膠原繊維は成体中で結合組織に強度を与えるほかに、胚(はい)発生などにおける細胞の運動や形態形成にも重要な役割を果たしている。日本大百科全書(ニッポニカ)「膠原繊維」の解説
※2 エラスチン繊維
硬蛋白質の一種。哺乳動物の結合組織 (軟骨,腱,靭帯,大動脈など) にコラーゲンなどの蛋白質とともに広く存在する構造蛋白質。黄色を呈し,ことに黄色結合組織に豊富に存在する。普通の溶剤には不溶で,ゴムのような弾性体としての性質をもつ。ある種の蛋白分解酵素により加水分解を受ける。X線図型は無定型。電子顕微鏡像も線維としての微細構造を示さない。ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
※3 ヒアルロン酸
動物組織に広く存在し,ゲル状をなして細胞間および組織間をつなぐ粘度の高い結合物質で,ムコ多糖類の一種。特に動物の硝子体,関節液,皮膚や臍の緒などに多く存在する。リウマチ性関節炎ではヒアルロン酸の粘度が低下しており,また老いるに従い皮膚からこの成分が減少していく。アミノ糖とウロン酸とから成る複雑な多糖類で,吸湿性をもつ無定形固体。水に溶け,水和ミセルをつくり,粘稠な溶液となる。また,高い粘度のために,細菌や毒物の侵入を防ぐ役も果す。
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
ケガや筋緊張などにより筋膜に負荷がかると、どのようなことが起こるのでしょうか。
ケガでの筋膜変化
筋膜は3 層から構成されているのですが、筋膜の層の間や一番深い層の筋膜と筋肉の間のヒアルロン酸が凝集してヒアルロン酸の濃度が 高くなりベタベタしてきます。
その結果筋膜の滑りが悪くなります。
さらに筋膜には血管や神経、リンパ管の機能を助ける働きがあります。
そのため筋膜にトラブルが生じるとそれらを絞めつけてしまい、血液やリンパ液の巡りを邪魔したり、神経の伝導を阻害するといった障害を引き起こします。
血液の巡りが悪くなると温度が低下するので、ヒアルロン酸はさらにベタベタとなり、筋膜の滑りがさらに悪くなるといった悪循環に陥ってしまいます。
そこで考えられた治療が筋膜リリースです。
筋膜リリースの効果
筋膜リリース (MyoFascial Release:MFR) とは 従来, オステオパシー※4領域で行われていたものをアメリカの理学療法士 John F. Barnes が体系化したものです。
※4 オステオパシー
骨の異常を整える療術の一つで、アメリカの医師スティルAndrew T.Still(1828―1917)が1874年に創始した。語源はギリシア語で、「骨の病理」の意である。スティルは最初、病気の原因はすべて骨の異常にあると提唱したが、その後、病原についての5項目(骨格の異常、筋肉や腱(けん)の異常、内臓の転移、神経や血管の異常、リンパの停滞)をあげ、それぞれの病原に応じた治療方式を創案し、臨床に応用した。日本大百科全書(ニッポニカ)
ゆっくりと穏やかな圧を加えて伸ばすことにより、組織の温度やエネルギーの状態や代謝を高めるプロセスを助けます。
穏やかな圧を加えて伸ばすと、まず筋膜に形を記憶させ伸縮性を与えるエラスチン線維を引き伸ばします。
続いて膜に強度を与えるコラーゲン線維を引き伸ばすことで密度が変化し,コ ラーゲン線維の制限がリリースされ筋膜の高密度化が解消されます。
MFR のゴールは、高密度化を解消することでバランスの取れた姿勢に戻し、筋骨格系全体の身体のバランスを元に戻すことです。
LeBauerらによると、側弯症患者に対 して横隔膜・腸腰筋を中心とする体幹・下肢の MFR を 1 日に 60 分、1 週間に 2 日の頻度で 6 週間行ったところ、姿勢や体幹の可動域が改善したとあります。
Barnes によると、胸郭出口症候群患者に対し腸腰筋や上肢を中 心とする全身的な MFR を 30 分、1 日に 2 ~ 3 回、1 週 間に 5 日の頻度で 2 週間行ったところ、肩甲骨周りの痛みが減り、姿勢が改善したとあります。
また Ajimsha らによる慢性腰痛のある看護師 80 名に対する MFR の報告では、腰背部を中心とする体幹・下肢の MFR を 1 日に 40 分,1 週間に 3 日の頻度で 8 週間施行したところ、痛みが減って日常生活の動作能力が改善したとあります。
Marszałek らによる喉頭全摘出術後患者 40 名に 対する MFR の報告では、頸部を中心とした上肢・頭部 の MFR を 1 回行った結果、食道圧が減少し飲み込む能力が改善し たとあります。
このように,MFR の効果は色々と報告されています。
しかしこれらの報告はいずれも複数部位に対し数週間に渡ってMFRを行った結果です。1 部 位への MFR1 回の効果とその持続について調査・検討 したものはほとんどありません。
苑田第一病院勝田らの発表で、MFR を両側下肢のハム ストリングスに180 秒ずつ実施した際の関節可動域や柔軟性の改善といった効果が 1 日以上持続し,30 秒 3 セットずつ実施した静的ストレッチングよりも改善の程度が大きかったことを報告されています。
なかなか良くならないケガの後遺症や肩こり、腰痛などの慢性的な痛みに悩んでいる方には筋膜リリースがオススメです。
しかし習慣化された日常生活動作において、1 回の治療における MFR の効果が持続するとは考えにくいです。
筋膜リリースのセルフケア
重要なのは日々の生活でのセルフケアとなります。
とはいえなかなか自分で筋膜リリースを行うのは難しいと思います。
そこで選択肢として考えられるのは、筋膜リリースを行えるグッズを利用するというものです。
今はこのようなものも市販されています。
他にも医療機器認証を受けているMYTREXのリバイブケアもオススメです。
プロのトレーナーや整体師も使用する本格的な筋膜リリース用のグッズです。
このようなグッズを使用して日々体のメンテナンスを行うことで、体を整えていきましょう!
まとめ:自分で無理なら専門家にお願いしましょう
自分だけでは改善できないようでしたら筋膜リリースを取り入れている整骨院や整体院で施術を受けることも検討してください。
「地域 筋膜 リリース」で検索すれば、あなたが住む地域で筋膜リリースを行っている治療院が見つかります。