あなたも一度は「医者の不養生」という慣用句は聞いたことがあるのではないでしょうか。

養生とは生活に気をつけ健康を増進することです。

養生の教科書と呼べるものに、江戸時代に貝原益軒によって書かれた『養生訓』という書物があります。

養生のエッセンスが詰まった素晴らしい書物です。

『養生訓』を読んだことがなくても、知らずにあなたもどこかで耳にしたことがある言葉があります。

腹八分目はその中でも最も有名な言葉です

これを守るだけでも多くの生活習慣病やガンを予防することができます。

単純な言葉ほど深みのあるものです。

欲にまかせ暴飲暴食を行うと脾胃を壊し病気になってしまいます。

空腹感を満たし、喉の渇きが潤えばそれ以上はむさぼらないよう腹八分目にします。

満腹までいくと気がふさがり病気のもとになります。

節度を守るためには、はじめに気を引き締め、限度を超えないよう自分に言い聞かせ、剛で対処することです。

今回は養生訓に書かれているもので、実生活に取り入れやすい物をご紹介します。

この記事を読めば、健康でいるために気を付けるべきポイントを知ることができます。

もくじ

養生の四寡


養生するために心がけるべき四寡と呼ばれるものがあります。

  • 邪念を少なくし神気を養い、
  • 欲を少なくし精を養い、
  • 飲食を少なくし胃を養い、
  • 言葉少なくし気を養う

ことをいいます。

神気とは精神活動を司る気で神、魂、魄、意、志からなります

医療は進歩していますが養生は今も昔も変わりません。

医療が進歩していなかったぶん、むしろ古人の方が現代人よりも健康に対し留意し、養生を大切にしていたと思われます。

養生の四要

養生の四要と呼ばれるものがあります。

  • 怒りを少なくし、
  • 考え込むことを少なくし、
  • 言葉少なくし、
  • 欲を少なくする

ことが養生につながります。

あなたは摂生というと食事やお酒を控えるイメージがありませんか?

実際には摂生の対象は多岐に渡ります。

摂生の目的は『気』を浪費させないことです。

摂生の七養

摂生の七養と呼ばれるものがあります。

  • 言葉を少なくし「体気」を養い、
  • 色欲を戒めて「精気」を養い、
  • 薄味にして「血気」を養い、
  • 唾液を飲んで「臓気」を養い、
  • 怒らず「肝気」を養い、
  • 飲食の節度を守って「胃気」を養い、
  • 心配事をなくして「心気」を養う

ことです。

食事心得の五思

最近の健康ブームにのってさまざまな食事療法が流行っては廃れてを繰り返しています。

健康に対する意識が高まるのは良いのですが、最も大切な食に対する感謝の思いが足らないと感じます。

『養生訓』に食事に対する心得があるので御紹介しておきます。

食事をするときの心得として五思があります。

五思とは

  • 食事の由来に思いをはせ養ってくれた親や兄弟、親族などから受けた恵みと恩に感謝すること
  • 生産者の苦労に思いをはせること
  • 自分のように未熟な者が食べられる恵みを受けられることを幸せに思うこと
  • 貧しく飢えている人もいるなかで食べられることを幸せと感じること
  • 大昔のことを考え美味しいものが簡単に手に入ることに感謝すること

 です。

健康になるための十二少

「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という故事を聞いたことがあるでしょうか。

『論語・先進』にある言葉で、孔子が二人の門人子張(師)と子夏(商)を比較して言った言葉に基づきます。

意味は何事も程ほどが肝心で、やり過ぎることはやり足りないことと同じように良いこととは言えないといったものです。

健康のため程ほどにする心得が十二少です。

健康になるためには欲を少なくすることが必要です。

欲を少なくする要点は十二あり十二少と言います。

十二少とは

  • 過食を避け腹八分目とし食を少なくする、
  • 酒はほろ酔い程度に少なくする、
  • 性欲を少なくする、
  • 惰眠をむさぼらず横になるのを少なくする、
  • 無駄口をきくことを避け言葉を控えめにして物静かな口調でゆったりと静でせわしげなく言葉少なくする、
  • 怒りを少なくする、
  • 憂いを少なくする、
  • 悲しみを少なくする、
  • 悩みを少なくする、
  • 五味の偏りを少なくする、
  • 雑事を少なくする

ことです。

まとめ:小さな積み重ねが大きな成果になる

どれも特別難しいことではありません。

誰にでもできる小さな積み重ねが、大きな成果につながります。

ぜひ日々の生活に取り入れてみてください!