あなたは坐骨神経痛がどんなものか知っていますか?

坐骨神経痛という言葉は一度は耳にしたことがあるかと思います。

しかし坐骨神経痛がどんなものかを知っている人は少ないようです。

実はあなたも坐骨神経痛になったことがあるかもしれません。

また今まで経験していなくても、今後経験する可能性は十分あります。

その際、坐骨神経痛がどんなものかを知っていれば、すぐに対処できます。

そこで今回は坐骨神経痛について分かりやすく説明します。

この記事を読めば坐骨神経痛について理解し、どのように予防し対処すべきか知ることができます。

坐骨神経痛とは

坐骨神経痛とは病名ではなく症状を指します。坐骨神経痛とはどんな症状化かといいますと、坐骨神経に痛みが出ることです。そのままですね!もう少し詳しく説明します。

坐骨神経とは腰から両脚に枝分かれする神経がいくつか束になったものです。坐骨神経はお尻から太ももの裏を通っています。

坐骨神経がどこかで圧迫をうけると坐骨神経痛が出現します。

症状としてはお尻から太ももの裏、ふくらはぎにかけての痛みです。

図-1赤い部分が坐骨神経痛の部位。黄色は神経。

坐骨神経痛の原因

坐骨神経痛は様々な原因によって起こります。

代表的なものを紹介していきます。

腰椎椎間板ヘルニア

体の中心で体幹を支えている腰の骨を腰椎といいます。

腰椎の椎体と呼ばれる円柱状の部分が、体重を支える役割を担っています。

腰椎は5つ縦に連結していますが、椎体と椎体の間には椎間板と呼ばれるクッション材が存在しています。

図-2 

椎間板は弾力性があるものですが、老化や過度な負担が原因で傷んでしまいます。

その結果、椎間板の中身(髄核といいます)が外に飛び出して、神経を圧迫します。

圧迫される神経が坐骨神経を構成する神経であった場合、坐骨神経痛が出現します。

椎間板ヘルニアはマクロファージという免疫細胞によって食べられて消えることが多いので、まずは安静や痛み止め、ブロック注射などで様子をみます。

ただし麻痺が出たり、小便や大便を調節できなくなってりした場合や、痛みがあまりにも強い場合は手術で椎間板ヘルニアを取り除きます。

腰部脊柱管狭窄症

腰椎の椎体の後ろ側を下半身の動きや感覚などを司る神経の束である脊髄神経が通っています。

脊髄神経はとても大事な神経なので、椎体の後方にあるドーナツ状の骨と靭帯(じんたい)によって保護されています。このドーナツ状の部分を脊柱管と呼びます。(図-2参照)

老化や病気によって骨や靭帯が厚くなったり出っ張ってきたりすると、脊柱管が徐々に狭くなってきます。その結果脊髄神経が圧迫されて、下半身に影響を及ぼします。

このようにして腰の脊柱管が狭くなって下半身に症状が出る病気を、腰部脊柱管狭窄症と呼んでいます。

坐骨神経を構成する神経が狭窄によって刺激されると、坐骨神経痛が出現します。

腰部脊柱管狭窄症では他にも以下のような症状を認めます。

腰痛

腰椎の変形が一緒に起こっていることがほとんどなので、腰痛を伴うことが多いです。

間欠性跛行

歩いているとだんだん足が重たくなって立ち止まってしまい、しばらくしゃがんで休憩するとまた歩けるようになる歩行を間欠性跛行といいます。腰部脊柱管狭窄症は進行すると100m以下の歩行でも間欠性跛行が出現してしまいます。

膀胱直腸障害

小便や大便の調節ができなくなることを膀胱直腸障害といいます。小便や大便の回数が増えたり、逆に出にくくなったりします。

脚のしびれ、筋力低下、やせ

脚を支配する神経が圧迫されることで、脚のしびれが出現したり、筋肉が落ちて筋力が低下したり脚がやせたりします。

梨状筋症候群

お尻の筋肉のひとつである梨状筋の近くを坐骨神経が通っています。10%ほどの人は坐骨神経が梨状筋を貫通しており、坐骨神経が圧迫されやすく坐骨神経痛が出現します。

坐骨神経が梨状筋を貫通していない人でも坐骨神経痛が出現することが多々あります。これは梨状筋が動くことで坐骨神経を刺激したり、骨盤の関節で起こる炎症が波及して梨状筋が炎症したりするためだと考えられています。

このように梨状筋が関係して坐骨神経痛が出現するのが梨状筋症候群です。

運動指導や痛み止め、ブロック注射で良くならない場合は、手術で梨状筋による坐骨神経の圧迫を取り除きます。

腫瘍

坐骨神経や坐骨神経を構成する神経に腫瘍ができたり、神経の近くに腫瘍ができたことで坐骨神経痛が出現している可能性もあります。

腫瘍は良性のものと悪性のものがあります。

安静にしていても坐骨神経痛が強い場合は腫瘍の可能性もあるので、早めに整形外科を受診してください。

さいごに

坐骨神経痛はなんらかの原因で坐骨神経や坐骨神経を構成する神経が圧迫されることで生じます。

冷えると出現しやすいので、室温を下げすぎないようにしたり、下半身を温かくしたり、お尻にカイロを貼ったり(皮膚に直接貼るとヤケドするので、下着やズボンの上から貼ってください)することで痛みを和らげることができます。

座りっぱなしや長時間のドライブなども原因になるので、小まめに休憩をはさむようにしましょう。

それでも症状が続く場合は整形外科を受診して、診療してもらってください。