指の関節は痛みが出る関節と特徴によって病名がある程度推測できます。

第1関節の痛む原因については以前解説しました。

こちらの記事をご参考にしてください。

完全公開!第一関節が痛む原因4選

整形外科外来に来られる患者さんの訴えで多いもののひとつに指の第1関節がはれて痛いというものがあります。 多くの方が「リウマチではないでしょうか?」と心配して受診…

今回は第2関節について解説していきます。

ちなみに指の第2関節のことを専門的にはPIP(proximal interphalangeal=近位指節間)関節と呼びます。

結論からお話すると指の第2関節が痛くなるの主な病気には

  • 関節リウマチ
  • ブシャール結節
  • 細菌感染
  • 腫瘍

があります。

この記事を最後までお読みいただければ、指の第2関節が痛くて腫れる病名を、自分である程度判断できるようになります

関節リウマチ

第2関節の痛みをみてまず疑わなければならないのが関節リウマチです。

リウマチという言葉は温泉の効能にも記載されているので、病名自体はご存じだと思います。

しかしながらリウマチについて詳しく知っている人は少ないです。

リウマチの正式名称は英語のrheumatoid arthritisの日本語訳である関節リウマチです。

関節リウマチは病名が示すように関節の病気です。

実際は関節以外の肺や腎臓、皮膚なども侵されますが、関節の症状が中心なので関節リウマチという病名がついています。

関節リウマチは自己免疫疾患というグループに分類されます。

自己免疫疾患とは、何らかの理由で免疫系の働きにトラブルが生じてしまう病気です。

免疫系は本来体を守るために有害なもの(細菌やウイルス、ガン細胞など)を排除するように働きます。

ところが自己免疫疾患では、免疫系が無害な自分自身の体を攻撃してしまいます。

関節が自分自身の免疫によって攻撃されてしまうのが関節リウマチです。

原因はいまだにはっきりしていません。

世界人口の1%ほどの人が関節リウマチであると考えられています。

女性が男性の5倍ほど多く、中年で発症することが多いです。

つまり中年女性が指の第2関節を痛がっていると、関節リウマチを疑う必要があります。

初期の症状としては関節の炎症に伴う痛みや腫れ(はれ)です。

特に初めに症状が現れやすいのが、手首と指の第2関節です。

そのため指の第2関節に痛みや腫れを認める場合は関節リウマチを疑う必要があります。

ただし指の第1関節や拳の部分(MP関節)に症状が出ることも多いので、第2関節だけにとらわれすぎないようにしてください。

関節リウマチは手の変形を引き起こします

後のセンテンスで解説するような指の第2関節に痛みや腫れが出る病気は他にもあるので、判別するために関節リウマチに特有の症状を知っておく必要があります。

関節リウマチに特徴的な症状として

  • 朝起きると手がこわばっていて動かしにくい状態が1時間以上続く
  • 膝や足首や足の指にも痛みや腫れがある
  • 関節を押さえると痛い
  • 関節に熱を持っている
  • 指先が小指側を向くようになっている
  • 両側に同じような症状がる
  • 微熱がある
  • 体がだるい
  • 貧血がある

といったものがあります。

ここで注意してほしいのは、すべてが当てはまるというわけではありません。

特徴に当てはまるものが多ければそれだけ関節リウマチである可能性が高いということです。

なかには一つの関節だけに症状が出る関節リウマチもあり、その場合は特徴にほとんど一致しません。

関節リウマチの診断には血液検査や画像検査などを行う必要があります。

特徴に当てはまるようでしたら専門医の受診を検討しましょう。

関節リウマチは地域ごと、病院ごとに専門科が異なっています。一般的に西日本では整形外科、東日本では膠原病内科、リウマチ科が担当していることが多いです。

こちらのサイトで地域ごとのリウマチ専門医を探すことができます。

http://pro.ryumachi-net.com/

できればリウマチ専門医に診察してもらうようにしましょう。

ちなみに専門医の上位資格が指導医となっています。

関節リウマチは一昔前はあまり良い治療がなく、全身の関節が次々に破壊され変形していき、肺や腎臓などの内臓も障害され、平均余命も短い病気でした。

しかし近年関節が破壊されるメカニズムが解明されてきたことで、症状をコントロールできる薬がたくさん開発され、治癒はできなくても寛解(治ったわけではないが、症状がなくなり検査データが正常になった状態)は目指せるようになっています。

早期発見、早期治療がカギになるので、特徴が当てはまるようでしたら早めに受診するようにしてください。

ブシャール結節

指の関節は全身の関節のなかで最も小さく繊細な関節です。にもかかわらず最も多く使用するのが指の関節です。

そのため年を重ねると軟骨がすり減ってきます。

その結果、関節が痛くなったり変形したりしてきます。

このように関節の軟骨がすり減って変形する病気を変形性関節症と呼びます。

指の第2関節に生じる変形性関節症をブシャール(Bouchard)結節と呼びます。

ちなみに指の第1関節に生じる変形性関節症をへバーデン(Heberden)結節と呼びます。

結節とはヒモを結んだときにできる節(フシ)という意味で、コブやシコリの別名だと思ってください。

BouchardもHeberdenも発見した医師の名前です。

関節リウマチとの違いは、関節リウマチがグラグラとやわらかく不安定なのに対し、ブシャール結節はガチガチで硬いです。ブシャール結節は赤みや熱感がなく、両手対称に症状がないことが多いのも関節リウマチとの違いです。ただし農家の方はすべての指を酷使しているので、両手すべての関節に変形性関節症を認めています。

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外見だけでは判別できないことが多いので、通常はまずレントゲンを撮影します。

レントゲンを撮影すると関節の状態が対象的なので見分けがつきます。

簡単に違いを説明すると関節リウマチは関節が柔らかくなっていくので骨の白さが薄くなる(黒色っぽくなる)のに対し、ブシャール結節では硬くなっていくので骨の白さが濃くなっていきます。

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関節リウマチのレントゲンは関節近くの骨が黒っぽい
ブシャール結節は関節の隙間がなく白くゴツゴツ出っ張っている

それでも見分けがつかない場合は、関節リウマチを疑ってエコーやMRIなどの画像検査や血液検査を行います。

②細菌感染

細菌が皮膚表面にできた小さな傷や血液などから侵入して第1関節に入り込んでしまうと、真っ赤に腫れあがって熱をもちます。

他の病気との違いとしては急に痛みと赤み、熱をもったはれが生じる点です。

症状が強いと熱が出ることもあります。

何歳でも起こる可能性がある病気です。

血液検査で細菌感染したときに上がる炎症マーカー(CRP、白血球、好中球)が上昇します。

抗生物質で治ることが多いですが、効果がなければ手術で関節を開いてきれいに洗う必要があります。

関節はもともと無菌の場所なので、細菌に対して抵抗力がありません。そのため一度細菌が感染するとなかなか治らず、治ったとしても関節が破壊されてしまいます。

④腫瘍

骨や軟骨にできる腫瘍があるため、第1関節のはれや痛みが腫瘍の場合もあります。

指にできやすい腫瘍に内軟骨種という良性腫瘍があります。

内軟骨種とは骨の内側に軟骨のような細胞が増殖してしまう病気です。

基本的には症状もなく無害ですが、腫瘍によって骨が薄くなると骨折を生じるため、その際ははれや痛みを生じます。

10歳~40歳に多いです。

内軟骨種が多発するOllier病と呼ばれる病気があり、その場合は悪性化することもあるので注意が必要です。

ごくまれではありますが骨肉腫や軟骨肉腫という悪性の腫瘍である場合があるので、レントゲンのチェックをしてもらったほうが安心です。

まとめ:指の第2関節が腫れて痛い際は整形外科受診を

外から見ただけでは原因を断定することができません。

レントゲンなどの画像検査やや血液検査を行うことで診断が確定されます。

腫れと痛みが続く場合は整形外科受診を検討しましょう。