こんにちは、代表理事の保田です。
英国では日本が現在目指している
『かかりつけ医制度』が浸透して
います。
「かかりつけ医制度ってなに?」
というあなたのために、簡単に
ご説明します。
英国の公的医療機関(NHS)は
原則無料で受診できますが、
いきなり行って診てもらう
ことはできません。
あらかじめ自分の住んでいる付近で
利用したい
GP(General Practitioner/
家庭医又はかかりつけ医)を決め
登録しておきます。
体調が悪いと感じたり病気に
なった際、まず初めにかかりつけ医
を受診します。
そのうえで専門医による高度な
治療が必要と判断された場合のみ
公的医療機関を紹介され受診する
ことができます。
最近日本の病院が紹介状がないと
受診できなくなってきているのは
英国の制度をまねてのことです。
このことで高額な検査費や治療費
がかかってしまう病院を受診する
人の数が減り、医療費の歳出を減らす
ことができます。
ただ日本でのかかりつけ医制度
には問題があります。
英国の場合はかかりつけ医に
なる医師は、全身を診ることが
できるよう厳しい試験をパスし
トレーニングを積んでいます。
しかし日本の医師は、自分の専門分野
に関しては診療スキルがありますが
専門分野以外になるとそれほど
詳しくありません。
私が専門としている整形外科を例に
とると、
手の専門家、肩の専門家、膝の専門家、
股関節の専門家、足の専門家といった
ように細分化されています。
整形外科医といっても手の専門家は
足のことはあまりよく分かって
いなかったりします。
内科も呼吸器、消化器、循環器、
血液、腎、糖尿病といった具合に
部位や疾患によってかなり細分化
されています。
そのため、開業医で内科を
標ぼうしていても、呼吸器が
専門だと腎のことはあまり
詳しくなかったりします。
専門化が進んだ結果、全身を診る
ことができる医師が少なくなって
しまいました。
制度だけを真似てもかかりつけ医制度
は実現しません。
最近は専門化しすぎたことを反省し
全身を診ることができる総合診療医を
育成する取り組みがはじまっています。
病院でも総合診療科を設けて
いるところが増えています。
しかし、かかりつけ医となる
開業医には総合診療医としての
能力がある人は少ないままです。
真のかかりつけ医制度の実現には
人材育成が課題になると思われます。
しかし人材育成には長い時間と
多くのコストがかかります。
この課題をクリアーできる画期的な
取り組みが英国で始まっています。
それに関しては次回説明したいと
思います。