こんにちは、
 代表理事の保田です。

 今日は在宅でリハビリを行う際、患者さんや利用者さんと関わるうえで助けになる、

 『生命力の感じ方』についてお話します。

 先日、訪問診療で103歳の女性の方を緊急往診しました。

 あまり食事や水分を摂れなくなってきたうえに、尿量が減り、微熱が続いているとのことで緊急往診しました。

 この方、実は私が昨年6月に再発がみつかり休職するまで、

 主治医として隔週で訪問診療していた方なんです。

 ですから100歳を超えるだけの強い生命力をお持ちだと知っていたので、あまり心配はしていませんでした。

 私なんかより、ずっと強い生命力を持っていらっしゃるのを、お会いするたびに感じていました。

 訪問するとさすがに座る元気はないものの、
 
 呼びかけに対して大きな声で答えてくれたので、それだけで大丈夫だと分かりました。

 診察を行うと、顔色も良く、むくみなども見られず脈も強く触れており、状態は安定していると確認できました。

 娘さんにお話を聞くと、「水分を500ml程度しか飲ます、尿が約500mlしか出ていない」とのことでした。

 成人の基準に照らし合わせれば飲む水分量も、出る尿量も確かに少ないということになりますが、

 しかし103歳の方に成人の基準を当てはめて考えること自体、無理があります。
 
 医療者は特に肝に銘じておく必要がありますが、あまり数値に振り回されてはいけません。

 それよりもご本人の様子と、そこからうかがえる体から発する生命力のようなものが重要です。
 
 生命力が強いときは顔色が良く、声に張りがあり、体温は高めで、脈がしっかりと触れ、スネや足の甲、顔などにむくみがありません。
  
 生命力が弱っているときはこの逆です。
 
 このような診察の仕方は東洋医学などの伝統医学では重要視されています。
 
 西洋医学でもかつては重要視されていたのですが、テクノロジーの進歩に伴い、数値化できないものを軽視するようになってしまいました。

 しかし在宅の現場では、体から得られる情報が頼りとなるため、数値化できないものが重要となってきます。

 あなたも在宅でリハビリを行う際には、その方から発する生命力をひとつの指標にすると良いでしょう。

  P.S. その103歳の患者さんは「うなぎが食べたい」と言い始めたそうなので、もう大丈夫です!