こんにちは!

代表理事の保田です。

 

新型コロナウイルスが

無症状の人からも感染

するということは、

あなたにとって常識と

なっていると思います。

 

しかしこれは専門家からすると

とっても非常識なことなんです。

 

世界で最初に、無症状感染

の可能性に気付いたのは

ミュンヘン大学の

Camilla Rotheでした。

 

Rotheは2020年1月末に、

ヨーロッパで最初の感染事例を

分析しました。

 

ヨーロッパに初めて新型コロナウイルス

が持ち込まれたのは、1月19日に

中国人女性が会議に出席するため、

上海からミュンヘンに到着した時と

されています。

 

この女性は武漢に住む両親と

会ってから渡航したそうです。

 

滞在中まったく症状のないまま

2日間の会議に出席しました。

 

1月22日に帰国中の機内で

症状が初めて出ました。

 

1月24日になり、

同じ会議に出席した人のうち

4人に症状が出現し、PCR陽性

が確認され、新型コロナウイルスに

感染していることが分かりました。

 

Rotheはこの時の状況を分析し、

無症状の潜伏期でも感染する

可能性があると結論づけました。

 

3月5日に論文として発表

されましたが、感染症の専門家

からは

 

「無症状の人から感染するわけがない」

 

と、受け入れてもらえませんでした。

 

“ウイルスは症状があるときに

感染する”

 

というのが今までの常識だったから

です。

 

常識を覆す発表をしたRotheは

批判の的にされました。

 

世界各国の機関が、この論文を否定し、

内容を変えるよう圧力までかけて

きたそうです。

 

しかし間もなくして、無症状の人から

感染する可能性を示す別の証拠が

上がってきました。

 

ある会社のカフェテリアで

食卓塩の瓶の受け渡しをした

だけの二人の間で感染が起こった

ことが分かったのです。

 

二人はともに無症状でした。

 

ゲノム解析の結果からも

無症状の二人が食卓塩の瓶を

介して感染したことは、

間違いありませんでした。

 

その後の様々研究で

約半数の感染が、無症状の人

からの感染だと結論付けられ

ました。

 

Rotheの論文が正しかったことが

ようやく認められたわけです。

 

Rotheは

『TIME誌が選ぶ2020年の100人』

に選ばれました。

 

 

もしRohteが無症状感染の

可能性を発表した時点で対策を

していれば、ここまでの感染拡大には

ならなかったはずです。

 

 

医学は過去のデータを蓄積し

成立している学問です。

 

それゆえに、過去に例のない事例は

排除しようとする力がはたらきます。

 

新しい事例を受け入れるということは

今まで信じて疑わなかった過去の蓄積

を否定することにつながるからです。

 

 

今日このような話をしたのは、

予防を行ううえでとても大切な

教訓が含まれているからです。

 

まず無症状感染することの

恐ろしさです。

 

もし症状があれば、人に感染

させないように気を付けることが

できますし、周りの人も感染

させられないよう気を付ける

ことができます。

 

しかし症状がなければ、どんなに元気で

あっても、感染している可能性があります。

今この瞬間、あなたも私も感染している

かもしれないわけです。

 

そうなると誰しもが常に感染させる可能性も、

感染させられる可能性もあるわけです。

 

ですから常時

 

「今は症状がないだけで自分は

感染しているかもしれない。

人にうつさないようマスクを

したり、不用意にあちこち触ったり

しないよう気を付けなければ」

 

「周りの人は誰が感染

していてもおかしくない。

そのつもりで予防しよう」

 

と考えることが大切です。

 

 

もうひとつの教訓は

食卓塩の瓶の受け渡しだけでも

感染する可能性があるということ

です。

 

今までにも何度かお話してきましたが、

新型コロナウイルスをはじめ、多くの

ウイルスは、接触感染をします。

 

つまりウイルスが付着した所

(人や物、手すり、壁などあらゆる

所に付着している可能性があります)

に触れることで、ウイルスが手に付着

します。

 

その後、手で食べ物を触ったり、口の周りに

触れることで、ウイルスが体内に侵入し、

感染を起こしてしまいます。

 

それが食卓塩の瓶を受け渡しするだけ

でも起こってしまうのです。

 

不用意にあちこち触れるのは控えましょう。

 

だからといって触れずに生活することは

不可能です。

 

そこで重要になってくるのが

手洗いと消毒、マスクです。

 

たくさんの人が触れている所を

触った後は、手洗いや消毒を

行いましょう。

 

またマスクをすることで、口の周りに

手をもっていくことが避けられます。

このこともマスクを付ける意義のひとつ

です。

 

 

このように感染様式、感染経路を

知ることで、予防を講じることが

できます。

 

 

しゃべったりくしゃみしたりで

起こる飛沫感染ばかりに注意が

いっていますが、

 

無症状感染、接触感染に関しても

気を配ることが重要です。

 

ぜひ心がけてください。