骨折はあなたの自由を奪うばかりか、生命の危機につながる可能性があります。

整形外科外来には毎日多くの人が骨折をして受診されます。

日本医療データセンターの2010年から2016年度のデータベースによると、骨折は子ども時代と高齢期に多いことが分かります。

高齢化が進む中で高齢者の骨折は年々増加しています。

日本整形外科学会 骨粗鬆症委員会 大腿骨近位部骨折 全国調査結果によると、年々骨折する人の数が増えています。

1998年と2008年を比較すると、20年の間に大腿骨頸部骨折(太ももの付け根の骨折)を受傷した人の数は約2倍にも増えています

あなたやあなたの家族が骨折になる可能性は十分あります。

骨折はあなたが思っている以上に危険をはらんでいます。

骨折による危険性

骨粗鬆症による骨折は日常生活動作を低下させます。

そればかりではありません。寿命が短くなることも分かっています。

骨粗鬆症が原因で大腿骨頸部骨折や椎体骨折では死亡するリスクが高いくなることや< Cauley et al. Osteoporos Int, 2000 >

受傷後2年での生存率の低下が著しく低いことが明らかになっています。< Tsuboi et al. J Bone Joint Surg Br , 2010 >

様々なデータが示すように、僕自身整形外科医として働くなかで高齢者の骨折が増えているのことや、骨折が原因で寝たきりになったり命の危険にさらされることを実感しています。

僕が整形外科医になった約20年前は、骨折する人は若者の方が多かったです。

ところが最近は骨折する人の大多数が高齢者になっています。

若者は骨折したとしても、治療やリハビリテーションが順調に進めば、社会復帰できるケースが多いです。

しかし高齢者が骨折した場合は全身の健康状態が悪化してしまうことが多々あります。

なぜならば骨折すると、骨折した所から大量に出血することで貧血が進んだり、痛みのためにストレスがかかり心臓に負担がかかったり、動けなくなることで全身の筋力(心臓や肺、腸などを動かす筋肉も含めた筋肉)があっという間に落ちてしまうためです。

骨折をした後早期に手術を行わないと、命を失う危険性が非常に高いです。

もし早期に手術を行うことができ、リハビリテーションをしっかり行ったとしても、元通り元気になる方は少数です。ほとんどの方が骨折前よりも動きが悪くなり、自立した生活を送れなくなります。そのまま家に引きこもりがちになってしまったり寝たきりに近い状態になってしまう方が非常に多いです。

骨折をただのケガと思って侮ってはいけません。命の危険に関わるケガだと認識する必要があります。

若者にも増えている骨折

骨折は高齢者だけの問題ではありません。

独立行政法人日本スポーツ振興センターの「学校の管理下の災害」によると、学校(学校行事を含む)における骨折は、小学生から高校生まで全体に増加しいます。その数は30年前の1.5倍1970年と比べると2.4倍にまで増えてることが明らかになっています。

実際に整形外科外来や救急外来にも骨折をして受診する子供は多いです。

それもちょっとしたことで骨折をしたり、繰り返し骨折する子供が多いのが最近の傾向としてあります。

日本整形外科学会でも、高齢者の骨折予防と並行して若者の骨折予防にも注力しています。

若者の骨折が増えいている原因は色々と言われていますが、日の当たる屋外で運動する機会が減っていることが主な原因ではないかと言われています。

人間は日光を浴びることで体内のビタミンDが活性化して骨を強くします。そのため日光に浴びる時間が少ないと骨折しやすくなります。

また骨に適度な負荷をかけることも骨を強くすることには重要です。

宇宙に行った人は日光に当たらず無重力の状態でいるため、あっという間に骨粗鬆症になってしまいます。

まとめ:専門医オススメ骨折予防

骨折を予防するために屋外で運動をすることが重要になってきます。運動は縄跳びや片足立ちなどが特に有効です。

転倒する身体的な問題として、足の指が上がっていないためつまずくというものがあります。

普段から足の指先を上げる運動をしたり、足の指を曲げたり伸ばしたりするストレッチを行うことも骨折予防につながります。

しかしこのような運動による予防法は即効性がないのがネックとなります。

そこでオススメなのが足の指がしっかり上がるようサポートしてくれる靴下などグッズを使用した予防です。

骨折は何よりも予防が重要です。

運動とサポートグッズを取り入れて骨折を予防し、元気で健康な毎日を送りましょう!