筋肉には2種類あります
筋肉は生きるために行う活動全般において力を発揮する器官です。
そのため筋肉を構成する骨格筋細胞は、他の器官を構成する細胞とは異なった独特の性質を持っています。
筋肉は生活したりトレーニングしたりすることで負荷がかかると、その負荷に適応するように発達します。
筋肉は効率よく力を発揮し発達するために、2つの異なる性質を持っています。
17世紀頃にはすでに、見た目の色の違いから、白筋と赤筋の2種類に分類されていました。
その後医学に進歩にともない、19世紀後半に特性によって速筋と遅筋の2種類に分類されるようになりました。
速筋とは
速筋は、筋肉が収縮する速度が速い筋肉です。
筋肉の収縮を速くするためには糖を効率よく分解してエネルギーを生み出す必要があります。そのため速筋は糖分解に必要なグリコーゲン顆粒を多く含み、糖を分解する酵素が活性化しています。
さらにATPaseの活性が高いという特徴をもちます。
ATPaseとは、ATP(アデノシン3リン酸)とい物質を水と反応させて分解する酵素です。ATPは水と反応して分解させられる際、エネルギーを生み出します。このエネルギーを利用して筋肉を収縮させるわけです。
つまりATPase活性が高いと、それだけ筋肉を効率よく収縮させることができるわけです。
遅筋とは
遅筋は、筋肉を収縮させる速度は遅いものの、持久力に優れた筋肉です。
速筋では糖を分解してエネルギーを生み出していましたが、遅筋では酸素を使って化学反応をさせることでエネルギーを生み出します。
遅筋はミトコンドリアを多く含みます。ミトコンドリアは細胞内に存在する器官のひとつで、酸素を利用してエネルギーを産み出す発電所のような存在です。
遅筋は空気中の酸素を利用してエネルギーを産み出します。そのため呼吸をしていればエネルギー源である酸素を得られるので持久性に優れます。
ちなみに速筋は食事で得て貯めておいたブドウ糖を利用するため、使うほど目減りしてしまうので、持久力に乏しいです。
速筋と遅筋の筋線維の太さを比べると、一般的に遅筋線維に比べ速筋線維が太いとされています。
しかしラットのヒラメ筋では遅筋線維は速筋線維に比べて太いことが知られており、必ずしも遅筋線維が速筋線維に比べて細いとは言えないようです。
どうやら筋肉の部位ごとの特性に応じて、筋線維の太さが決まっているようです。
ミオシンの特性による分類
筋肉を構成するタンパク質であるミオシンの特性による分類もあります。
ミオシンはfast type(速いタイプ:typeⅠ)とslow type(遅いタイプ:typeⅡb)に分かれます。
fast typeは速筋、slow typeは遅筋と同義と考えていいです。
fast typeはアルカリ性でATPase活性が安定し、slow typeは酸性で安定するという特徴があります。この特徴を利用した染色法があるため(ATPase染色法)、染色にてはっきり分けることができます。
さらに速筋と遅筋の中間的な特性を持ったtype-Ⅱaと呼ばれる筋肉もあります。中間筋と呼ばれることもあります。
速筋、遅筋、中間筋の分布は部位によって異なりますし、ひとりひとり違います。
それぞれが1/3ずつ均等にモザイク状に分布しているのが一般的ではあります。
速筋だけとか遅筋だけということはありません。
どれかひとつのタイプが55%を超えた場合、その筋肉のタイプが優位であると判断されます。
例えば速筋の占める割合が56%であれば、速筋タイプや白筋タイプと呼びます。
一般的に人の場合は、速筋有意な筋肉として、母指内転筋、大腿二頭筋、長腓骨筋、ヒラメ筋、前脛骨筋、脊柱起立筋が該当します。
遅筋有意な筋肉は、上腕二頭筋、腕橈骨筋、眼輪筋、大胸筋、大腿直筋です。
筋肉のタイプによって、得意なスポーツや適したトレーニングメニューが分かります。
もしあなたがスポーツやトレーニングでなかなか成果が出ないのであれば、筋肉のタイプが適していない可能性があります。
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